#6【日本一に輝いた努力のオールラウンダーが覆す軟式野球の概念】小栗晋吾選手

 史上初の東京ドーム開催となった女子硬式野球選抜決勝戦、歓喜する福井工大福井ナインとは対照的に神戸弘陵ナインはがっくりと肩を落とした。昨年夏覇者の実力をもってしても日本一はそう簡単ではない。日本一になることの難しさは草野球でも同様であるが、わずか創部4年目にして日本一に輝いたのが大阪バンバータだ。
「チームの取り組み状況として、昨年は高松宮杯で日本一になることができました。今年は天皇杯での日本一を目標としています。」そう語るのはチームの主軸として活躍する小栗晋吾選手(31)である。

 甲子園に出場し社会人野球でも活躍した父の影響を受け、幼い頃から野球に没頭。父親譲りの運動能力の高さでめきめきと頭角を表し、名門立命館宇治高校では1年生にして夏のスタメンを勝ち取った。しかし、輝かしいデビューを果たした一方で高校時代は必ずしも順風満帆とは言えなかったという。小栗選手は当時をこう振り返る。
「高校1年生の夏の大会後に右肘を疲労骨折してしまい1年を棒に振ってしまいました。
野球がしたくても出来ない歯痒さと、他の選手のレベルが上がっていくことに焦りを感じたことを覚えています。他の選手に追いつくため復帰に向けては相当な努力をしました。
また、復帰後も指導者からは走攻守全てがノーマルより上だが光るものがないと言われ続けてきました。相当悔しかったですね。その悔しさがあったからこそ限界を超えるような努力ができたんだと思います。」
 大学は系列校である立命館大学に進学。副キャプテンとしてチームを牽引し、現西武ライオンズの金子侑司らととも全日本大学野球選手権にも出場した。光るものがないと言われ続けた小栗選手は、積み重ねられた努力により走攻守すべてに秀でたオールラウンダーとなっていた。

 現在は、大阪バンバータで日本一を目指す傍、外商専門のスポーツ店の経営と箕面自由学園高等学校硬式野球部のコーチとしても活動している。
「たかが軟式野球かもしれませんが年々レベルが高まってきていると思います。日本一になることで草野球=遊び・レベルが低いなど世間的な軟式野球の概念を覆して行きたいです。また、バンバータとして地域の子供達と交流するイベントをお手伝いさせていだいていますが、活動を通して野球をしたいと思う子供達が少しで増えることを願っています。
最後にですが、学生選手にはYouTubeなどでプロ野球選手の考え方を聞くことや指導者の理論を取捨選択しながた自分に合う物を取り入れていって欲しいと思います。ヒントはいくらでも転がっているので自分で見つけて掴み取って欲しいですね。」
努力のオールラウンダーのあふれんばかりの野球熱は、周囲を巻き込み拡大を続ける。

主な球歴立命館宇治-立命館大学(副主将)-大阪バンバータ
(高校野球京都府予選準優勝、第61回全日本大学野球選手権大会出場、高松宮杯日本一)

(2022/04/05)

草野球選手のためのSNS”Ballmates”でつながれます。